サマー・イン・ザ・シティ

「プールに行こうよ」と妻が突然言った。午前10時頃のこと。
最初は乗り気ではなかったが(家で翻訳でもしたかったので)、大磯ロングビーチという最初の提案に難色を示したのを受けて、辻堂の海浜公園に提案変更してきたので、それではと言うことで出かけることにした。
今日は夏休み前の火曜日。それに着いたのがお昼の12時過ぎ。驚くほど人が少なかった。
日陰のナイスなポジションを事も無く手に入れて、早速売店で焼きそばとコーラを購入。まずは腹ごしらえである。
それから先にプールに入っていた妻を追ってプールへ。実は滅法泳ぎが下手な僕は、キティーちゃんの浮き輪につかまってぷかぷか浮いていた。それでも今まで平泳ぎだけは何とかなるだろうと思っていたので、ちょっとトライしてみると、これが全く前に進まず、どんどん沈んでいくばかり。妻に手の動きを指摘され、矯正を試みるも上手く行かず、結局またキティーちゃんと一緒に流れるプールで揺られていた。
そのあと2時間くらい、ござの上でお昼寝。去年の夏、松永良平さんにいただいたCD−RがBGM。ライオネル・ハンプトンの「ホエア・ワー・ユー・ホエン・アイ・ニーディッド・ユー」に連れられて天まで昇ってしまいそう。なんと気持ちよい昼下がりなのだろう。そう思って軽くうとうとしていると、隣の親子がなにやら揉めている。しかも娘が英語で一緒にプールで遊んでくれないことに腹を立てているという旨をまくし立て、それに対して母は日本語でそれをいなしているのだ。何となく不思議な光景だと思った。話は通じているようなので、恐らく英語に慣れていて使いたがる娘を、母は日本語で話すように促す意図があり、それでちょっとおかしなやりとりになっているのだろう。娘は「アイム・シリアス!アイヴ・ビーン・ウェイティング!」と言い終わるやいなや、泣きべそでプールの方へ駆け出して行った。そんな中妻は隣で伊坂幸太郎の「チルドレン」をひたすら読み続けていた。結局それきり水にはつからず、プールを後にした。
せっかくだから、と辻堂海岸まで足を伸ばし、海岸線を江ノ島方向へ歩き出した。海ではサーファー達がそれほど高くない波と戯れていた。その幸せそうな顔。鵠沼海岸を踏破。
一時間弱で新江ノ島水族館前まで到着し、その向かいのカフェで休憩。ビールを飲んで、しばし雑誌を読みつつ談笑。なかなか雰囲気の良いカフェだったが、その水族館で海が見えないのだけが玉に瑕か。
片瀬江ノ島駅から小田急で藤沢に出る。駅前のビルに入ったタワーレコードでしばし過ごす。決め手がなくて手ぶらで出ようと思ったら、以前試聴して気に入っていたアクロン/ファミリーの新譜『セッテム・ワイルド、セッテム・フリー』が目に入り、即購入。ポップに「アニコレ、フリート・フォクシーズファン必聴!」と書いてあり、そんな感じだったっけな、と思いつつ、思いとどまる理由はない。
帰ったのは八時過ぎ。腕にロッカーの鍵のついたリストバンドの日焼け跡がくっきりついていた。

The Wonder of Stevie

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