ビーイング・ゼア

仕事が終わり、いつもと逆方向の電車に乗って、久しぶりに実家へ帰った。目的は、鹿児島に帰省していた母が祖母から預かってきたというお土産を受け取ること。しかし裏テーマとしては、「アドルフに告ぐ」全五巻と、何枚かCDを持ち帰ることだった。そうめんを食べて、そそくさと昔の自分の部屋へ。早速本棚を見ると、ない。「アドルフに告ぐ」が影も形もないのだ。「自分で持って行ったんじゃないの」と言われたが、全くそんな記憶はなし。釈然としないが、無いものは仕方が無い。気を取り直してCDの棚へ。本棚のさらに上に付いた棚なので、椅子に乗らずには見られない。よたよたしながら物色し、結局8点程お持ち帰りすることに決定。カーリー・サイモン『ノー・シークレット』、ウィルコ『ビーイング・ゼア』、オアシス『モーニング・グローリー』、BMXバンディッツ『ザット・サマー・フィーリング』、セクション『セクション』、レモンヘッズ『カモン・フィール』、ティーンエイジ・ファンクラブ『サーティーン』、それにリアル・シングのベスト盤。90年代ものが多いのは、現在のうちのCD棚に一番少ないジャンルだから。ウィルコは当時全然聴いてなかったけれど、今ならはまりそうな気がする。そう思って帰って来て最初に2枚組のディスク1を聴いた。1曲目の「ミスアンダストゥッド」は最初のSEがオルタナ色濃厚で不安を覚えたが、突然雲間から差し込む日の光のごとく優しいピアノの音色が流れ出す。70年代初頭のニール・ヤングだ、と思った。シンプルで美しい楽曲と、拘り抜いた音響。いつまでもアメリカン・ロックの希望の星として絶賛されるだけはある、とすっかり興奮してしまった。カーリーのアルバムは後回しになってしまいそうだ。

Being There

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