うつろな愛

今日職場で手塚治虫の「アドルフに告ぐ」の文庫本の第一巻を借りた。全巻揃いで持っていて、何度も読んだ作品だが、実家から連れて来なかったので、読むのは久しぶりだ。帰るまでに待ちきれず、半分ほど駅前の広場で読んでしまった。このスピード感と切迫感は半端ではない。ヒトラー出生の謎を軸に、運命に翻弄されていく二人のドイツ人と一人の日本人の話だが、大げさに言えば自分の人生観に大きな影響を与えられたと思っている。絶対的な正義も悪も存在しない、だからこそ永久に分かり合えないこともある、という真理を教えてくれたのがこの漫画だからだ。手塚作品の中だけでなく、全ての漫画の中で一番特別な存在かもしれない。それに肉薄するのが藤子F不二夫先生の短編集シリーズだろうか。一つ心配なのは、一巻を読み終えると二巻を読みたくていてもたってもいられなくなってしまうこと。その時は人生で三回目の漫画喫茶に行くとしよう。でも「寄生獣」や「花の慶次」にまで手を出してしまいそうで怖い。
多くの本や漫画とともに実家に残してきたCDの中で、最近聴きたいのがハンブル・パイとカーリー・サイモン。特にカーリーは最近どういうわけか「ユア・ソー・ヴェイン」がやたらと浮かんでくるのだ。なんとなく昔はピンと来なかったアルバムだけど、30代の今聴きなおしてみたい。ジャケットは今も昔も変わらず好きだ。

ノー・シークレッツ

ノー・シークレッツ