星の降るような夜に

エレカシの新作『昇れる太陽』、オリコン週間第三位獲得、
だそうで、嬉しいというか感慨深い。
僕のエレカシ初体験は学生の頃、
『東京の空』というアルバムだった、と記憶しているが、
どうだろう。
ロッキング・オン・ジャパンに載った
インタビューやレビューを読み、聴いてみたくなったのだ。
折りしも渋谷系が流行語になりつつあり、
「お洒落なのもどうかなあ」と思っていた頃に、
どうも男臭くて女子供に媚びないようなイメージがあったので、
思い切って飛び込んだ。
1曲目「この夜は最高!」から、のけぞる程の痛快さ。
そして「もしも願いが叶うなら」の色濃い叙情性。
何より美しいメロディーにつかまれた。
「悲しみの果て」からエレカシはブレイクに向かい、
『ココロに花を』と『明日に向かって走れ』で
名実ともにピークに至った。
また『奴隷天国』以前のアルバムを聴きながら、
宮本浩次という男の底知れぬ孤独さに
自分を投影する時期もあった。
書生気質でロマンチスト。
永井荷風も彼の影響で読もうとした(読了していないが)。
青二才で甘ったれで格好ばかり気にしていた僕にとっては、
まさに憧れの男だった。
最近のエレカシがセルアウトしてダメだ、
という人がいそうなものだけど、
そういう声がほとんど聞こえてこないのは、
やはり宮本さん自身も彼の作る歌も、
本質的には何ら変わっていないからなのではないか。
「待つ男」も「曙光」も「昔の侍」も「歴史」も
「新しい季節へキミと」も、
全て男のロマンを歌っている。
しかも現在の曲の方がずっと深みがあると思う。
彼らの曲が再び多くの人に聴かれるようになったのは、
レコード会社の売り方だけなんじゃないか、と考えてしまう。
そしてもちろん、楽曲自体が本当に素晴らしいからだ。
と言いながら、まだ新作は未聴なのである。
近く友人に貸してもらう予定なので、
それから感想を書きたいと思う。

東京の空

東京の空