開店休業

何の脈絡もなくふと思ったこと。
ユニコーンの5thアルバム『ヒゲとボイン』についての否定的な論調がまかり通っているのが全く解せない。
楽曲は粒ぞろいだし(民生や阿部の曲のみならず、EBI屈指の名曲「黒い炎」も収録されているのだ!)、統一感も割りとあるし、何より彼ら史上最も「ビートルズ的な」作品じゃないか。
ファンの意見はともかく、評論家筋の言い分は大体「暗い」「マニアック」「地味」というものだが、それって凄く表層的な聴き方でしかない気がする。
つまり一曲目が「ターボ意味なし」だというところに起因するのではないか。
確かに『ケダモノの嵐』はシングルの「命果てるまで」だし、『スプリングマン』は超キャッチーな「与える男」だから、このオープニングは地味である。
しかし当時(高校1年生)このアルバムを聴いた僕は、大変痛快な気持ちになったと同時に、やっぱりユニコーンは凄い、と感動すら覚え、間違いなくこの作品は最高傑作だと確信した。
実際その思いは今も全く変わらないし、誰に何と言われても気にしないでいようと思っていた。
ところがこの間某音楽雑誌を立ち読みしていたら、某ミュージシャンが「このアルバムから聴かなくなって」などと話しているのを読んで、むくむくとルサンチマンが膨らんでしまったのだ。
多分そういう人は、「ヒゲとボイン」(曲の方)が一曲目だったとしたら、全く意見が変わっていたと思う。
僕も当時(高校生)、きっとそっちの方が受けるな、とは思った。
でもそうじゃないのがこの作品の真価なのだ。
ジャケットも、アルバムタイトルも、先行シングルなしで発売されたところも、全てユニコーンの本質だったと疑わない。
若い頃聴いてあまり好きになれなかった人は、今こそじっくり向き合ってみてほしい。
ユニコーンの本質は、照れ隠しや皮肉の皮をまとった、最も正統的な音楽集団であると知るはずだ。
絶賛してばかりだと信憑性に欠けると思われそうなので、この作品の僕が残念に思う点を。
手島いさむ作の「幸福」という曲、民生に歌って欲しかった。
以上、チケットが取れなかった負け犬の遠吠えです。

ヒゲとボイン(紙ジャケット仕様)

ヒゲとボイン(紙ジャケット仕様)

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