ダーク・ホース

今日の「アメトーーク」は、「○○じゃない方芸人」という企画だった。「オードリーの春日じゃない方」や「ナイツのヤホーじゃない方」などの、目立つ相方の陰に隠れた芸人達が集まって、日ごろの鬱憤をネタとして語り合う、少し切ない回だったのだが、トークは随分盛り上がったし、実際にキャラが濃い相方よりもトークの腕があるのではないかと思われる人もいて、有意義な企画だったのではないだろうか。少なくとも僕にはかなり面白かった。誰かとコンビになって活動したことはないけれど、何となく僕も「じゃない方」な人生を送ってきたような気がするので、とてもシンパシーが湧いた、というのもあるけれど。オードリーの若林さんが、漫才をするときに相方の春日さんが後からのっしのっしと出てくるので、自分だけで最初に客前に出るとシーンとして、「毎回心が折れた状態でスタートする」と言っていたのが印象的だった。あれだけ売れていて、あのスタイルで一世を風靡したにもかかわらず、やはり人気や扱いの差に挫けそうになるのか、と切なくなった。特に舞台が大きくなればなるほど、その辛さは深くなっていくのだろう。僕も毎日心がポキポキ折れているが、こんなスケールで折れる心じゃどんな舞台にも立てやしない。
その「日陰のスター」でやはり思い出すのは、ジョージ・ハリスンだ。でも僕は最初からジョージの曲もキャラクターも好きで、ビートルズで初めにグッと来た曲は「アイ・ニード・ユー」だったし、人生初ライブはジョージがクラプトンと一緒に来た東京ドーム公演だった。ビートルズのメンバーで最後まで名前が出てこない男、として一般の人からは認知されているようだが、彼もやはり心が折れたことがあったのだろうか。世界で一番有名なバンドの「じゃない方芸人」の心中を推し量るのは困難だけれど、きっと彼も最高級の自虐ネタでバンバン笑いをとっていただろう。オードリーは春日ではなく若林、と思っている僕のルーツは、間違いなくジョージ・ハリスンである。

Live in Japan (Hybr)

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