映画の中のディランのように

今日は朝からベル&セバスチャンの『ライフ・パースート』を聴く。ラフ・トレードに移籍してからの彼らの曲は、以前よりポップになったと思うし、ヴァリエーションがより豊富になったと思うが、一皮剥いでみると核にあるのはメランコリーと少しのウィット、そしてインディー・スピリットだと思う。メジャーでのファースト『天使のため息』を最初に聴いた時の、とても優しい音楽でありながらどこか冷徹な部分を持っている、という印象は、彼らの作品を聴き続けてきた今でもそれほど変わらない。でもきっと彼ら自身は変わろうとしたし、実際に変わったのだろう。意識的な変化、または成長の受容。ラフ・トレードへの移籍とトニー・ホッファーの起用がそれをはっきりと示している。でも僕はどうしても変わらない部分を探してしまうし、拭い去ることの出来ないものの方がより伝わってくるものだ。最後の2曲、「フォー・ザ・プライス・オブ・カップ・オブ・ティー」と「モーニントン・クレセントの日々」が、全く違う味だがとても好きだ。特に後者はカントリー調のノスタルジックなナンバーで、グラム・パーソンズの「シー」を思い出してしまった。それは僕にとって最高級の賛辞なのだ。

ライフ・パースート-THE LIFE PURSUIT-

ライフ・パースート-THE LIFE PURSUIT-