ポニーテールの頃

カジヒデキさんのファースト・ソロ・アルバム『ミニスカート』、今更だけれど本当に素晴らしい。フリッパーズ・ギターが2枚目のアルバム『カメラトーク』で卒業した場所で、とても誇らしげにさらに過剰にその音楽を奏でている。そのてらいの無さに照れくさくなってしまうけれど、そういう人や音楽に僕は憧れる。ヒット曲「ラ・ブーム」「マスカット」「夏物語」は勿論の事、他の全ての曲がそれぞれ持ち味が違う名曲だ。リアルタイムでも聴いていたが、ここまでバリエーションが豊富だという印象が無かった。楽曲もアレンジも練り上げられているが、それをチマチマと扱うのではなく全て豪快に全速力で演奏している。渋谷系、というと最早ネガティヴなタームとして受け取られる傾向さえ見られるが(当初もそうだったか)、このアルバムはまさに渋谷系のど真ん中でありながら、普遍性を持ちえた問答無用の傑作だ、と再認識した。昔好きだった「ハートじかけのおんがく」が今の僕にもこんなにグッと来るなんて。あと、「ポップソングをつくろう」にワタナベイビーの声が入っていて、そういえばホフディランのファーストも凄く良いアルバムだったなあ、と思ったりして、すっかり90年代モードの今日この頃。「マフラーをよろしく」「恋の年賀はがき」、久しぶりに聴きたくなった。

多摩川レコード

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