ディスタント・ドリーマー

昨日買ったCDの中に、ダフィーという女性歌手のアルバムがある。
去年発売された作品で、売れたみたいだ。評論家受けも良かったように聴いている。
でも僕はどうも食指が伸びなかった。
それは、エイミー・ワインハウスの雨後の筍の一人だと思っていたからだ。
マーシー」という曲のPVを観た時、いいなと思ったのだが、やはりエイミーと比べてしまう自分がいた。
その後、「ワーウィック・アヴェニュー」のPVを観て、やはりいい曲だと思ったが、やはり二番煎じなのではないかと考えてしまう。
それほどエイミーが鮮烈だったということもあるが、そういう「雨後の筍」に見える人、物に敏感になってしまう自分がいる。しかも表層的な部分しか分からないにも関わらず、そういう臭いを少しでも感じたら、近づいていくのがためらわれるのだ。
そんな僕がどうしてこのアルバムに近づこうとしたのか。答えは簡単。例の「ワーウィック・アヴェニュー」が聴きたくて仕方がなくなったのだ。
PVではずっと車の中で車窓を見ながら歌っていて、途中で泣き出してマスカラが溶け出していく、という多少あざとさを感じる演出なのだが、サザン・ソウルの王道を意識したレイジーサウンドと、こみ上げるようなメロディーに、ある日つかまれたのだ。
そう、実ははじめから好きだったんだ。頭が心を邪魔していたのだ。
そう思ったら早い。欲しくて仕方がなくなる。『ロックフェリー』というタイトルらしい。不思議なタイトルだ。でも妙な趣深さだ。
マーシー」というシングルが異色な曲だったようで、それ以外はミドルテンポの曲ばかりだ。どれも素晴らしい。元スウェードのバーナード・バトラーがプロデュースしているようで、ギターがとてもいい味を出している。メロディーも情感が溢れている。
主役のダフィーの声は、特に個性的という訳ではないと思うが、このサウンドに凄く合っている。エイミーとは違って酒焼けの声ではないが、ナチュラルなダスティーさを持っている。
ひょっとしたらエイミー・ワインハウスより何度も聴くことになるかもしれない。結局しばらく経って人が騒ぎ出さなければ気づかない、己の鈍感ぶりにほとほと嫌気がさす。
とにかく、僕のような人は是非聴いた方が良いと思う。
今朝はこのアルバムの前に、カレン・ダルトンを聴いたのだが、こちらはもっと素晴らしい。でもまた別の機会に。

ROCKFERRY

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