めりこむ青春

今日も朝から翻訳をしていた。ジャッキー・ウィルソンのこのアルバムは、実は「エリーナ・リグビー」のカヴァー目当てで買ったのだが、ここのところずっと聴いていて、「ラッキー・オールド・サン」が白眉であると感じるようになった。やや大味だと思っていたこのバラードナンバーが、とても繊細できめ細やかな楽曲であることが分かるのだ。それはジャッキーの歌声がとてもニュアンス豊かであり、もちろん技巧的にも優れているからだが、それだけではない。タイトルと同じ歌詞を歌い上げる時の、あの胸を引き裂かれているかのようなシャウトは、テクニックだけでは出せるわけがない。彼はフランク・シナトラジャニス・ジョプリンを同時に持っているのだ、少なくともこの曲に関しては。そういえば最近ブライアン・ウィルソンも取り上げていたが、僕の中ではジャッキーのバージョンと、大西ゆかりの日本語カバーが断トツである。大西ゆかりのバージョンは、いい意味でボロボロで、圧倒的にブルーズだ。この曲が好きでたまらない気持ちがとても伝わってくる。そうでなければ、「一日中ごろんごろんと お空じゃおてんとうさん」という歌詞は出てこないだろう。ちなみに同じアルバムに収録されている「コーリング・ユー」のカバーも愛情過剰の素晴らしいバージョン。

七曲入

七曲入