春を待っている

たった今、コロンビア・レディメイドのホームページの更新された「レコード日記」を読んだ。小西康陽氏の不定期(だけど頻度は三回に二回くらい)連載「200枚のCDを聴く。」のその19。今日のCDは両方日本人作品。小坂忠『もっともっと』とシュガーベイブ『ソングス』の2枚だった。僕もこの2枚のアルバムは本当に大好き。とくに『もっともっと』はとても思い出深い。小西さんも大好きだという「好きなんだから」という曲は、大学時代に友人が作ってくれた唯一のテープに収められていた。そのテープはA面がアメリカのSSWの曲で占められ、B面は日本の70年代の曲ばかりという構成だった。A面の1曲目がケニー・ランキンの歌う「グルーヴィン」のカヴァー、ラストはボズ・スギャッグス「ウィー・アー・オールウェイズ・スウィートハート」で、メロウでグルーヴィーな名曲ばかりが選ばれていた。B面は久保田麻琴「待ちぼうけ」ではじまり、ラストがその「好きなんだから」だった、と思うが、実は手元にないので定かではない。しかしそのテープが与えてくれた衝撃と影響は尋常じゃなかった。知らない曲しかなく、全部が今まで聴いてきた曲の水準をはるかに越えたいい曲だらけだったから。いまは全てCDでそろえてしまったが、そのテープが今でも自分の基本である気がする。小坂忠の曲は例外的に2曲、「好きなんだから」とファーストから「からす」が選曲されていたのだが、『ほうろう』しか知らず、しかもそれを気に入っていた自分にはすぐには良さが分からなかったけれど、こういう曲をいい曲だと感じ人に勧められる友人を羨ましく思った。その後何度も聴くうちに大好きになったのだが、今でも彼が入れてくれたようにMC付きで聴きたいと思ってしまう。はっぴいえんどよりも小坂忠、と彼は言っていた。あれから約十年。時々棚から取り出すのは『風街ろまん』ではなく『もっともっと』だ。

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