ラストナンバー

今日は「今年初めて聴いたアルバムべスト20」企画の最終回。最後が一番悩むと思っていたけど案の定決まらない。好きなものが多すぎて、というのもあるけど、一枚ずつを時間をかけて聴いていないので、決め手にかけるというか、フェアではないといいますか。まあそんなこと誰も気にしないので、気にせず進めることにする。最後の前の一枚は、ケリー・パターソン『処女航海』。ジャケットをショップで目にするたび「いつかは聴くだろう」と確信しながらスルーしてきた作品。実はまだ1曲目しか聴いてない。フェアかアンフェアか気にしないとはいえ極端すぎるぞ、と言われても変えない。「マジック・ワンド・オブ・ラヴ」を聴けば、このアルバムが思ったとおりの傑作だと分かるのだ。ごくシンプルだけれどグルーヴ感のあるバックの演奏と、いそうでいない感じの高からず低からずの微妙な歌声。合間をたゆたうフルートの音色。マリーナ・ショウの「フィール・ライク・メイキン・ラヴ」を思わせる、官能的で霊的なナンバー。実は買ってしばらくは、中身を聴かず飾っていた。聴くのが怖くて。そして1曲目を聴いたとき、求めていた音楽に近すぎて、さらに聴けなくなってしまったのです。だからまだ二回(いま聴きなおした)。そういう作品は他にもあって、ザ・ビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』はその際たるものだ。通して聴いたのは数えるほどしかないが、音楽を聴くたびに基準にしてしまう。『処女航海』はこの後何回聴くことだろう。そして、最後の一枚は、反対に最も頻繁に聞いたアルバムを。それはマーク・ロンソン『ヴァージョン』。去年の作品だけど、この人のことをよく知らなくて、これも今年買ったエイミー・ワインハウスの『バック・イン・ブラック』に感動し、その後なにかの記事でこの作品の存在を知り、ツタヤで購入。最初は全曲最高!と漠然と思っていたけれど、聴きすぎて最近では好きな曲がはっきりしてきた。ベストはインタールードの「インヴァージョン」。ブギウギ・ピアノとソウル・インストの理想的な邂逅、というかこんな曲聴いたことない。ヒップ・ホップ・プロパーやもろソウル・ファンには受けは良くないかもしれないけれど、どこにも属さない、たとえるなら「フォークダンスDe成子坂」なダンス・ミュージック。そんな隙間的なエンターテインメント全般が大好きです。ということで、最後は自分のトラウマティックなフレーズを無理やり挿入して、この企画終了します。選んだ20枚から選曲してCD-Rを作成、という当初のアイディアを実現すべく、後日その曲目を開陳する予定。

ヴァージョン

ヴァージョン

メイデン・ヴォヤージュ

メイデン・ヴォヤージュ