パパズ・グルーヴ

ユアソングイズグッドの素晴らしいDVD作品を今日も鑑賞。ライブが収録された2枚のディスクはもちろん(キャリア全楽曲が入っているのではないだろうか)、圧巻はドキュメントと題されたディスク3。フルーティーやナッツアンドミルク、スクールジャケッツなどの貴重な前身バンドの映像から、意外と知られていないはずのユアソン初期の映像、そして最新のものまで、関係者の証言とともに編年体で紹介されていく。このバンドのルーツがハードコアだと言うことは情報として知ってはいたけれど、実際音を聴いてライブを観てみると、そのインパクトは大きい。それは今の彼らの音楽から離れているからというよりは、その時点ですでに世界観を確立していて、ジャンルのくくりから逸脱しようとする意思がはっきり伝わってくるからだ。いくつかのバンドが解散と再編成を経て、ユアソンというバンドが誕生してからも、エモコアからポストロックへとその音楽性を変貌させていき、閉塞感を打ち破るべく名曲「10インチストンプ」が完成し、ターニング・ポイントを迎える、という物語に深く引き込まれた。彼らのことは好きだったが、この作品で少しだけ彼らの本質に近づけた気がした。少年マガジンで「ユアソングイズグッド物語」が掲載される日も近いかもしれない(「ユアソングイズグッド大辞典」を参照)。
彼らの音楽を知ったのは、忘れもしないタワーレコード新宿店。オルガンものが集められた試聴機のコーナーで、当時出たばかりの「COME ON」を聴いたとき。少しオルガン・グルーヴ系に食傷気味な気がしていた頃だったのだが、それでも聴きたくなったのは多分ジャケットの雰囲気のお陰だと思う。少しゆるいかな、とも感じたが全体のインテリジェンスな雰囲気とヴァラエティーの豊かさに魅かれ、買って帰ったのだった。サイトウジュン氏のセルフライナーがとても良くて、その解説を読みながら何度も聞き返した覚えがある。そして決定的だったのがファーストフルアルバム(昨日のブログでリンクを貼った)。ライブ感が一気に高まり、さらに幅も広がり、大愛聴盤となる。1曲目「"2,4,6,6,1,64" Number」の疾走感と高揚感と笑顔のグルーヴにすっかりやられたのだ。その後の作品も全て期待を上回り続けてくれた。二年連続大晦日の幕張のライブを体験し、死ぬ気でエンターテインしようとする気迫をイヤというほど思い知ったと同時に、昇天していきそうなくらい快感のツボを押し捲ってもらった。「あいつによろしく」がまるでアンセムのように響き渡った時、クラシックが誕生する現場に居合わせたような幸福感を味わった。
ユアソングイズグッド、バンド名も最高だ。

PLAY ALL!!!!!! live,accident,history,idea,We are YSIG 1998-2008 [DVD]

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