優しい陽射し

尾崎豊のことが、何となく頭に浮かんだ。と思って調べると、命日が1992年4月25日、とあった。なるほど。
尾崎豊の曲は生前にはほとんど聴いたことがなく、亡くなってすぐテレビやラジオで組まれた特番の中で初めてきちんと聴いたのだが、僕は「アイ・ラヴ・ユー」や「15の夜」のような初期の曲よりも、「自由への扉」や「ラヴ・ウェイ」や「太陽の破片」のような後期の楽曲の方により魅かれた。おそらく、青春時代の鬱屈とした思いをシンプルな詞曲に込めた十代の作品より、より複雑に、より深みを増した後期の作品の方が、生々しく感じられたのではないか、と思う。「街路樹」も好きだった。ただの青春のシンボルでは終わらない、シンガーソングライターとしての円熟を感じることが出来た。
尾崎豊岡村靖幸は親交が深かったそうだが、二人の作風は違えど、納得できる気はする。どちらも強烈な自意識を抱えながら、作品と自分との距離感を計り続け、沈黙を恐れず傑作だけを生み出そうとする天才だ。
放熱への証』という最後のアルバムが、尾崎豊の最高傑作ではないかと思っている。本当の優しさにたどり着いたアルバムだ。

放熱への証

放熱への証

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