ミスター・サンシャイン

i-podで久々にマティアス・テレスの『タミアス・メレス』を通して聴いてみる。普段は大好きな数曲(「ブランド・ニュー・キックス」のオリジナルとその2つのリミックス、「MILF」、そして珠玉のソウル・ナンバー「アイ・ラヴ・アイ・ラヴ・アイ・ラヴ」)ばかり聴いていたけれど、このアルバム(11曲目までがオリジナルで、それ以降の11曲はボーナス・トラック)はほぼ全曲が佳曲であると気が付いた。ファストな曲やフォーキーな曲にそれほど興味をもたなかったが、きちんと聴けばこの人の味がしっかり出ている。どの曲も良く練られていて、展開も多く、かつメロディーが美しい。特に改めて気に入ったのが「スタック・イン・アン・エレヴェイター」という、ラジオ番組風にジングルから始まる曲で、これぞマティアスの粋を集めた、要するにやりたい放題のナンバーだ。イージーリスニング調からホッドロッド調になり(なんとなくピチカートっぽく感じる)、そこから一転ビーチボーイズのようなコーラス入りのトラッド風に変わるという、めまぐるしくて脈絡が無さそうだが(ラジオをコンセプトにしているのだろうけど)どのパートも完成度が高くて、それを惜しげもなく一曲に詰め込むいさぎよさ、才能を垂れ流している感じが最高に気持ちいい。ボーナストラックもクオリティーは高いし、それぞれ独自の味がある。今更ながらヘビーローテーションになりそうだ。買ったのはもうだいぶ前なのに。ジャック・ぺニャーテも新作が出るらしいし、彼のニューアイテムもそろそろかもしれない。でも気まぐれなやつだろうから、今頃古着屋でも始めているのかもしれないが。

TAMIAS MELLEZ

TAMIAS MELLEZ