犬と猫

犬童一心監督の『グーグーだって猫である』をDVDで観た。漫画は立ち読みでしか読んだことがなく、殆ど筋を知らなかったのだが、恐らく『我輩は猫である』にインスパイアされた作品なのだろう。とにかく自由な映画だと思った。現実と虚構が入り混じったり、急に劇画からギャグ漫画になったかのようなシーンが入って来たりするのだが、それが嫌らしい計算に基づいたものではなく、もっとイノセントな、子供の悪ふざけのようなものに感じられる。これは猫の映画だからと言う部分も大きいのだろうが、犬童監督自身にそういう人なのだと思う。どうせなら笑えた方がいい、どうせなら泣いた方がいい、というストレートな映画観に感動する。『メゾン・ド・ヒミコ』に引き続きグループでのダンスのシーンが登場したとき、この監督について誤解していたのだと分かった。きっと天然の人なのだ。この映画を観てますますファンになった。音楽担当も前作と同じ細野晴臣さんだが、今回はもっとフィジカルな、手のぬくもりを感じる曲達で、小泉今日子さんと細野さんがデュエットする主題歌「Good Good」は、とてもメロディアスで温かい名曲だと思う。
細野さんの作品で最初に買ったのははっぴいえんどのアルバムだが、その後「ホソノハウス」を聴いて、むしろこっちに夢中になってしまった。「Good Good」を聴いて聴きたくなったのはこの1枚。同時代のジェイムス・テイラーなどのアメリカのシンガーソングライターの作品と比べても全く遜色の無い、というかむしろ凄い作品なのではないかと思う。曲は勿論歌詞も素晴らしくて、僕は松本隆さんの詞よりも好きかもしれない。「終りの季節」は日本のポップスの金字塔だろう。

HOSONO HOUSE

HOSONO HOUSE