ストレート・ノー・チェイサー

レコード日記。昨夜はセロニアス・モンクの「プレイズ・デューク・エリントン」を聴いた。モンクのピアノは好きなのに、彼のリーダー作は「5by5」しか持っていなかった。思ったとおり最高のアルバム。意外に、というか、ベースの演奏が素晴らしい。一曲目から「スウィングしなきゃ意味ないね」。前日のスタン・ゲッツのアルバムにも入ってたが、モンクは肉体でなく精神をスウィングさせてくれる。他にも「ムード・インディゴ」や「キャラバン」など名曲ばかりが、モンクの世界の中で表現される。恐らく本人に解体や解釈の意図はないのではないか。ただ再現しようと努めているような気がする。それでもひとたび彼が演奏すると、ナチュラルに曲が再構築されていく。ジャズを美術に例えるのは安易過ぎるかもしれないが、モンクはジャズ・ピアニスト界の山下清だと思う。余りにも誠実、ゆえに多くの人の目には奇妙に映る。でも宿命的に惹きつけられてしまうのである。ウィスキーを飲みながら、そんなことを考える。ストレートでチェイサーなし、ではなかったけれど。

プレイズ・デューク・エリントン

プレイズ・デューク・エリントン